「スマホ老眼」について
 昨今、スマホ老眼という言葉をよく耳にします。本来、老眼とは、加齢によって眼球内の水晶体の弾力性が失われ、調節機能が低下し、近見が困難になった状態を言います。一方、「スマホ老眼」とは、長時間、スマホを見続けることで眼が疲労して、手元が見えづらくなることを指しているのでしょうか。疲労による調節力の低下が原因ならば、休息することで回復しますが、成長期の学童の場合、水晶体が膨らんだまま戻りにくくなる仮性近視の症状に気を付けなくてはなりません。
 もう一つ、気を付けるべきことがあります。近くのモノを見る時に、調節と同時に視線を内側(鼻側)によせる眼の筋肉の力、輻輳が働きます。スマホ老眼はこの点についても注意すべきです。
■調節力と輻輳力
 眼はカメラのレンズのように、見たい距離に応じて屈折力(光線を曲げる力)を変化させ、焦点を網膜上に合わせる機能を持っています。これを眼の調節機能といい、その役割を「水晶体」とよばれる眼の中にあるレンズで行っています。
 この水晶体を膨らませて屈折力を高めると同時に、視線が近くの目標物に焦点が合うように、眼の筋肉を内側(鼻側)によせる力が働きます。これを「輻輳力」と言います。調節をすると、輻輳も連動して働くことを「近見反応」と呼びます。調節は目標物を明視するためのピント合わせ、輻輳は目標物を単一視するための眼球運動です。
 このように、いずれか 一方が働けば、その刺激が伝わってもう一方が働きます。便利なメカニズムです。
 しかし、大きい外斜位があると眼位を補正するためには、輻輳力を大きく必要とします。この時、調節も大きく引き起こされます。すると、片眼視力に比較して両眼視力が不良となる場合があります。これを「斜位近視」と呼んでいます。
(こんな時は、「輻輳だけ働いてくれたらいいのに」と思っても、人間の眼はそこまでは、精巧にできていません。)
 斜位近視では、外斜位の矯正を優先的に考えるべきで、プリズムで眼位の矯正をすれば近視度数は、軽減できます。
■輻輳力が楽になるようなメガネ
 メガネは遠視、近視、乱視、老視の矯正をしますが、その他に斜位の矯正や輻輳力を補うことも出来ます。パソコン作業や読書などで疲れやすい方の中には、輻輳力の弱い方が多くいらっしゃいます。特に40歳を過ぎた方は、眼の調節力(モノを見るための力)が弱ってくるので、調節力と連動している輻輳力はよけいに弱くなります。
■簡単な両眼視の検査の実験
 鉛筆かボールペンのようなものを2本、できれば色違いを用意してください。
例えば、赤鉛筆と緑鉛筆を使い、左手で赤鉛筆を眼前約10㎝~15㎝位にセットし、右手をいっぱい伸ばした状態で緑鉛筆を持って下さい。
 最初に赤い鉛筆を見てください。1本に見えていれば、視線は赤鉛筆に合っています。その時、緑の鉛筆は何本に見えていますか。2本に見えるはずです。
 もし、赤鉛筆を見ている状態で、緑鉛筆が2本に見えていなければ両眼の連動が悪くて、両眼でモノをとらえていません。
 逆に緑鉛筆を注視すれば、赤鉛筆は2本に見えます。
これが正常な状態です。
赤鉛筆を見るのにも、緑鉛筆を見るのにも眼の輻輳力を使って見ています。
赤鉛筆を見るほうが、より輻輳力を必要とします。
 次に、赤鉛筆だけを使用して、赤鉛筆を注視しながら20㎝~30㎝の距離から徐々に眼に近づけて下さい。この動作を繰り返し数回行なえば、眼を内側に引っ張る力を鍛えるためのトレーニングになります。輻輳力が弱いと、近業での作業が疲れやすくなります。

【参考資料】抑制について

出典資料


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