朝日新聞社
2020/11/29
昭和生まれの水力発電所、次の時代へ回れ JR東が改修

発電所内にある導水管の直径は4・5メートル~4・8メートル。右奥から手前方向に1~5号機用で、上部施設の屋根は3号機までコンクリートの補強が施されている=2020年11月26日午後1時54分、新潟県十日町市上新井、松本英仁撮影
 発電開始から80年余りの歴史があるJR東日本の信濃川発電所の千手発電所(新潟県十日町市)。老朽化した発電機の更新作業などの様子が26日、報道関係者らに公開された。国有鉄道の電化を推進する戦前の国策により建設され、土木遺産にも選ばれた発電所は、2027年3月の完工をめざし、改修工事が進められている。
 千手発電所は、十日町市街地を望む信濃川左岸の河岸段丘、水田地帯にあり、周囲には工場もある。工事は昨年7月に着工、主に老朽化した水力発電機や鉄管、変電設備を取り換える。発電機は現行の5基から4基に減らすのに伴い、水を送る水圧鉄管も5本から4本に減らす。
 最も工事が進む2号機で26日、水力発電の「心臓部」の水車の据え付け工事などが公開された。ステンレス鋳鋼製の円盤状の水車(外径3・5メートル、高さ1・6メートル、重さ21トン)は、内部に流水を取り込みその勢いで回転し、同軸でつないだ装置で発電する。水車の寿命は約40年。今回が2度目の交換。水を受ける羽根の形を曲線的にし、水流による摩耗を軽減して長寿命化を図り、水の勢いをより発電に生かす改良を施した。
 発電機を支えるコンクリートの基礎部分も一部改修・強化したが、ほとんどは建設当時のままという。担当者は「昭和初期の建設だが、コンクリートの密度の高さなど十分な強度があり、当時の建設技術やものづくりへの意欲の高さがうかがい知れる」。
 5基の発電機のうち1基を予備機とし、最大4基で発電する。設計上の最大出力は1時間当たり12万キロワット。約1時間で1周する山手線の編成で200周分にあたる。だが、雪解け水で最も水かさが増す春先に4基がフル稼働しても11万3千キロワットが限度。改修後は発電機の稼働率を上げ、常時4基の発電体制になり、発電装置の技術改良や施設の改修など全基が入れ替わると、現行から6千キロワット発電効率が上がる見込みだ。