令和3年2月6日
岩手日報18面
県有形文化財
旧紫波郡役所庁舎指定へ
県内唯一現存を評価
 県文化財保護審議会(会長・熊谷常正盛岡大教授)は5日、県有形文化財に紫波町日詰の旧紫波郡役所庁舎(建造物)を指定するよう佐藤博県教育長に答申した。県内に建設された郡役所庁舎のうち、唯一現存する点などが高く評価された。3月の県教育委員会定例会の議決を経て、4月に指定される見通し。
 管理する紫波町によると、同郡役所庁舎は1898(明治31)年に建設され、1926(大正15)年まで郡行政の中心を担った。55年の紫波町誕生後に旧町役場庁舎が隣接して建設され、町役場庁舎が2015年に移転するまで、会議室や選挙の期日前投票会場として使われた。
 木造2階建てで正面に玄関ポーチが付き、延べ床面積は191平方㍍。設計者、施工者は不明だが、窓枠に化粧材を張り装飾するなど洋風の造形を多く採用する。一方、玄関ポーチは「井」の字に組まれた格縁天井を採用するなど、和風要素も併せ持つ擬洋風建築だ。
 県教委は中でも、独立した柱を立てずに会議室の大きな空間を確保するため、屋根の骨組みに、部材で組んだ三角形の中央に支柱を立てたキングポストトラス構造を採用した点が注目されると評価。「県内に建てられた郡役所庁舎で唯一現存し、建築史学的、歴史的な価値、さらに郡行政を担った建築としての価値が認められる」と説明する。
 旧町役場庁舎の跡地にはシードル醸造所やコンビニなどが入る温泉施設「ひづめゆ」が21年度末開業を目指して整備されている。
 工事のため来年春まで敷地内への立ち入りはできないが、町生涯学習課の須川範一課長は「ひづめゆと連携した活用法なども考えていきたい」としている。
 県指定文化財は計399件となる。そのうち有形は計254件で建造物は計34件。

県有形文化財に指定される見込みの旧紫波郡役所庁舎
=紫波町日詰(県文化財保護審議会委員・窪寺茂氏提供