2021年5月7日
岩手日報 25面
県内 ICT授業 着々  小中、県立学校に1人1台端末  27市町村で配備完了  教職員の操作習熟課題

タブレット端末から送信された児童の解答をテレビ画面に映し、答え合わせをする飯岡小の6年生。情報通信技術を活用した授業が本格化している=盛岡市
 県内の小中学校で、1人1台のパソコンやタブレット端末を活用した授業が本格化している。文部科学省の「GIGAスクール構想」に伴う配備は今年3月時点で33市町村中、27市町村の小中学校と県立学校で完了したが、教職員の端末操作の習熟が課題だ。県教委は今後5年間で全教職員対象の研修などを通して活用を促す。子どもたちは日常的にスマートフォンやテレビゲームの操作に慣れている側面もあり、効果的な学びが期待される。
 盛岡市の飯岡小(宮野光一校長、児童313人)の6年2組。担任の佐々木紀代子教諭は国語の授業でiPad(アイパッド)に解答用紙を送信した。児童22人は慣れた手つきで、漢字とその読み方をタッチペンで書き込んだ。
 オンライン上の「提出箱」に解答を送信し、テレビ画面に映し出された回答を共有。松本和佳さんは「友達にも問題や答えを送ることができて便利」と実感。赤崎煉君も「紙と違って答えの提出が簡単。みんなともっと考えを共有したい」と受け止めた。
 県教委と岩手大、県立大は昨年度から飯岡小を含む県内小中高7校の研究協力校と授業研究を実践。「児童生徒とコミュニケーションが取りやすくなった」という声の一方、「関係のない操作をする場面もあり、一定のルールが必要」といった指摘もあった。
 授業の組み立てには学習支援アプリを使う必要もある。飯岡小研究主任の鷹嘴陽一教諭は「未経験で手探りの中、現場は授業の準備に相当時間をかけている。児童の資質・能力の育成へ効果的な情報通信技術(ICT)の活用を考えたい」と思案する。
 GIGAスクール構想は新型コロナウイルス感染症の影響で、当初の2023年度から20年度内に完了目標を前倒し。文科省によると今年3月時点で全国の97.6%に当たる1769自治体で整備が完了した。県内は需給の逼迫による納期遅延などで盛岡市、大船渡市、一関市は本年度の1学期中、八幡平市、奥州市、野田村は2学期以降に端末の納品完了を見込む。
 県教委は本年度、機器運用や授業活用を支援するGIGAスクールサポーターの配置を進め、県立総合教育センターで計70の関連研修を計画。4月下旬の小学校初任者研修講座では、問題を出すツールや動画撮影など学習支援アプリの使用法を伝えた。同センターの小原ひとみ主任研修指導主事は「操作に慣れることで今までできなかった学びにつながる可能性がある」と強調する。
無線LAN環境県立学校に整備 県教委
 パソコンやタブレット端末の有効活用には学校内の高速通信ネットワークの整備も不可欠。県教委は全県立学校で無線LAN環境を整えている。
 県立高校では、電子黒板やプロジェクターなどの大型提示装置の配備も行い、昨年度の24校に加え、本年度は13校で導入を予定している。
 県教委の調査では、昨年10月末時点で奥州市や滝沢市、宮古市など22市町村が全校に無線LAN環境を整備済みとしている。
研修や支援員配置重要
岩手大教育学部の宮川洋一教授(情報教育学)の話
 新学習指導要領の「主体的・対話的で深い学び」につなげるため情報通信`技術(ICT)を授業に組み込む意義は大きい。端末を通じて意見を持ち寄り、自分の考えが視覚的に表現できることから生徒の協調性の高まりも示唆されている。今後は教師の研修や、メンテナンスなどを担うICT支援員の配置が重要。多くの学校現場はICTを活用した授業経験がなく、研究協力校の実践事例集などを足がかりに各校で取り組みを進めてほしい。